2024年度の環境施設総括管理士資格認定研修会が9月5日、6日の両日、新規申請者11名(ごみ焼却9名、リサイクル1名、汚泥再生1名)、登録更新申請者30名、再開申請者1名、個人特別会員5名 その他審査委員、協会関係者を含め総勢約60名が参加してアジュール竹芝で開催されました。
近藤会長から、「環境衛生施設維持管理業協会は、廃棄物処理施設の運転維持管理会社の事業団体"として1985年4月に設立されました。現在、当協会は、加盟会社20社、受託事業所は合計1,088ヶ所に及び、そこには17,500人の加盟各社の運転員の方々が日々業務に携わっており、ますます社会で重要な役割を担っています。
当協会の事業目的は会員相互の協力により、環境衛生施設の維持管理技術の研究・研鑽と安全で安定的な運営・作業管理の推進を通じて公共事業の使命に寄与することです。この目的達成のために、『操業技術力』、『安全衛生推進力』、『運営管理力』の3つの要素からなる『現場総合力』の更なる向上を目標とし、広く社会に貢献していく活動に取組んでおります。
1992年11月に設立しました「環境施設総括管理士制度」は、この事業目的、目標を達成するための事業活動の一つとして設立したものです。総括管理士には、運転維持管理のエキスパート集団の筆頭として、運転管理のスペシャリストを養成し、施設の設計思想を十分理解した、安全で安定した質の高い運転・維持管理を提供するための指導者としての役割を果たすとともに、その役割を広く社会に広めることを期待しています。
そのためにも、総括管理士の方々は協会内の総括管理士会に所属して頂き、技術部会、安全衛生部会の部会活動に積極的にご参加頂くとともに、事業所管理者研修会を中心とする研修活動、各種講習会へ の講師派遣等の教育活動、各種技術講座への出版による広報活動、各種団体との交流活動を行っていただきます。又、各所属会社においても指導者として、事業所の安全・安定操業と適正な運営・維持管理能力向上を図り、環境衛生事業の推進、発展に寄与するよう活動していただきたいと考えています。
さらに、当協会を取巻く事業環境や社会要求は時々刻々変化してきております。
施設運営の受託契約では複数年契約や長期包括契約あるいはDBO契約が増加しており、さらには環境衛生施設におけるエネルギー回収や資源化に対する機能増強、施設の自動化・遠隔監視・省力化への対応も必要となってきています。このため、このような変化に即した施設運営や運転・維持管理に関する技能の向上が求められてきています。
加えて、近年の自然災害の多発に備えるため、地域の防災拠点としての役割も期待されており、これを実現するべく地域の関係者と協力した活動が必要になってきています。
そのためにも、この研修会を通じて総括管理士の指導者としての役割、活動をご理解頂き、会社の垣根を越えた活動により、視野と知識を広げ、技術の研鑽を図ることで、これから広く地域社会に貢献して頂くことを祈念しております。」との挨拶がありました。
環境省、廃棄物関連法人などから著名な方々を講師に招き、最新の環境行政、資源循環を踏まえ脱炭素社会に向けた展望と課題、廃プラスチック問題とその対応および安全衛生管理など多くの貴重な講義をいただき、総括管理士としての重要な役割を認識するとともに、廃棄物処理に関する最新の情報を得る貴重な2日間でありました。
最後に、保延資格審査委員長から、「環境施設維持管理業協会の活動目標は『現場総合力の 更なる向上』であり、『操業技術力』、『安全衛生推進力』および『運営管理力』の3つの要素の実力を高め、広く地域社会に貢献するために活動を行っている。この目標を達成するための施策 の一つとして『環境施設総括管理士を筆頭とする運転維持管理のエキスパート集団として事業を発展していく。』とうたっており、総括管理士各位には「現場総合力の向上」のための指導者として事業所の安全・安定操業と適正な運営・維持管理能力向上をを図るとともに、環境衛生事業の推進、発展に寄与することを期待されている。」との激励のメッセージがあり研修会を終了しました。
新規申請者は、今後、論文審査、口述審査を経て、2025年1月の理事会で正式に承認された後、新総括管理士として登録される予定です。
ちなみに、今回の資格認定研修会の講師とテーマは以下の通りです。
・「環維協の概要および総括管理士の役割」
当協会 環境施設総括管理士会 代表 川端 保宏氏
・「運転管理会社としての安全衛生対策」
当協会 安全衛生部会 部会長 井上 雅裕氏
・「最近の廃棄物・リサイクル行政の動向について」
環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課
課長補佐 勝見 潤子氏
・「自治体のごみ処理の現況と今後(広域化をめぐって)」
元(公社)全国都市清掃会議 荒井 喜久雄氏
・「自治体から見た廃棄物処理施設の運営・維持管理の状況と課題」
(公社)全国都市清掃会議 技術部長 八鍬 浩氏
・「資源循環を踏まえ脱炭素社会に向けたごみ処理の今後の展望と課題」
(一財)日本環境衛生センター 環境工学第一部長
理事 藤原 周史氏
・「し尿処理・汚泥再生処理施設に係る現代の運転管理
−社会情勢の変化に対応した運転管理-」
(一財)日本環境衛生センター 環境事業本部環境事業第二部
次長 岡崎 貴之氏
・「し尿処理・汚泥再生処理施設に係る現代の運転管理
−今後の施設運営に求められる視点−」
(一財)日本環境衛生センター 環境事業本部環境事業第二部
部長 稲田 隆治氏
・「サ−キュラーエコノミーを基調とした日本型都市ごみ処理システムとは」
(国研)国立環境研究所 フェロー 大迫 政浩氏
・「環境上適正な水銀管理について」
京都大学大学院 工学研究科 都市環境工学専攻
教授 高岡 昌輝氏
・「廃プラスチック問題とその対応」
(株)廃棄物工学研究所 代表
岡山大学 名誉教授 田中 勝氏
認定研修会
近藤哲也会長 開会挨拶 環境省 課長補佐 勝見潤子氏
元全都清 荒井喜久雄氏 全都清 技術部長 八鍬浩氏
日本環境衛生センター 理事 藤原周史氏 日本環境衛生センター 次長 岡崎貴之氏
日本環境衛生センター 部長 稲田隆治氏 国立環境研究所 フェロー 大迫政浩氏
京都大学大学院 教授 高岡昌輝氏 廃棄物工学研究所 代表 田中勝氏
・日 時 7月17日(水) 10:00〜11:25(技術部会全体会議)
10:20〜11:25(安全衛生部会全体会議)
13:15〜17:15(合同意見交換会)
・場 所 東京グランドホテル
・出席者 技術部会 31名 安全衛生部会 36名
合同意見交換会 70名
午前中の「全体会議」では技術部会、安全衛生部会の基本方針と各活動グループから2024年度の活動計画について報告がありました。
午後に開催された「総括管理士会・技術部会・安全衛生部会 合同意見交換会」では川端総括管理士会代表、石川技術部会長および井上安全衛生部会長からそれぞれ2023年度の活動実績と2024年度の活動計画の報告がありました。
技術部会からのトピックスとして「日本環境衛生施設工業会との技術交流会報告」および「施設見学研修報告」が施設調査・関連団体グループ代表からあり、石川技術部会長から「環維協活性化について」に関して講演が行われました。
安全衛生部会からは「熱中症対策について」大塚製薬(株)から報告されました。
次に、Hitz環境サービス(株)および極東サービスエンジニアリング(株)からそれぞれ「わが社の安全衛生活動」の報告がありました。
続いて、「2023年災害調査報告」に関して神鳥副部会長(調査グループ代表)から報告が行われました。
両部会長および総括管理士会代表の講評の後、意見交換会を終了しました。
合同意見交換会終了後、懇親会の開催となり、親交を深めました。
合同意見交換会
石川技術部会長 井上安全衛生部会長
川端総括管理士会代表
わが社の安全衛生活動① わが社の安全衛生活動②
Hitz環境サービス(株) 和田様 極東サービスエンジニアリング(株)安村様
一般社団法人環境衛生施設維持管理業協会の第十五回通常総会が7月5日(金) 14時40分から、東京都港区の芝パークホテルにて開催されました。
近藤会長から「環維協では、『地域に根ざして、社会を支える環維協、より時代に合った、より社会に開かれた活動を目差す』の活動方針の元、「現場総合力の更なる向上」を目標に、「操業技術力」、「安全衛生推進力」、「運営管理力」の3つの要素の実力向上に取組んでおります。
一昨年来、当協会を取り巻く事業環境においても、エネルギー価格高騰や著しい円安による物価上昇、働き手不足による雇用状況の悪化等による影響が大きく、会員各社に置かれましても、この「現場総合力」の実力向上には非常に苦労されているところです。
このような状況ではありますが、昨年、当協会は新たなメンバーを迎え、加盟会社は20社となりました。環境衛生施設の受託件数は、ごみ焼却施設・リサイクル処理施設・汚泥再生処理施設などを合わせて全国に1,088施設、そこには17,500人の運転員の方々が日々業務に携わっております。
この数値を見るだけでも、当協会の活動が日本の環境衛生施設の運営・維持管理における重要な役割を担っていること、各地域の市民生活に欠かせない存在となっていることがご理解頂けるものと思います。今後とも関係する皆様方の引続きのご指導、ご鞭撻よろしくお願いいたします。」と挨拶があり、引き続き議事に入りました。
議事では令和5年度の事業報告・決算および令和6年度の事業計画・予算が原案どおり可決承認されました。続いて現理事11名のうち1名が辞任されるため、あらためて理事1名が選任されました。
代表理事および副会長については、近藤会長と小武海副会長および石川副会長が留任され、新しく選任された理事を含めて理事11名と監事1名の体制となりました。
その後、貢献者表彰に移り、貢献者6名に近藤会長より感謝状と記念品が手渡されました。
講演会では株式会社 廃棄物工学研究所 代表の田中勝様から『脱炭素や循環経済を考慮した住民主体のごみ処理』と題して貴重な講演をいただきました。
18時からは懇親会になり、環境省 環境再生・資源循環局次長の角倉一郎様からご祝辞をいただき、岡山大学 名誉教授の田中勝先生にご挨拶をいただきました。
引き続き、日本廃棄物団体連合会の会長で、公益法人日本産業廃棄物処理振興センター理事長の関壮一郎様からご挨拶をいただきました。
次に、一般財団法人 日本環境衛生センター南川秀樹理事長(日本廃棄物団体連合会副会長)、のご発声で乾杯、懇談となりました。その後、盛会裡に散会となりました。
環維協技術部会では先進技術あるいは特徴的な技術を取り入れた廃棄物処理施設の見学研修会を実施しており、「令和6年度技術部会施設見学研修会」を下記のとおり開催しました。
1. 開催日:令和6年6月7日(金)
2. 見学施設
1) し尿処理施設
住所:〒010-1601 秋田市向浜一丁目13番1号
施設名:秋田市汚泥再生処理センター
2) ごみ処理施設
住所:〒019-2614 秋田市河辺豊成字虚空蔵大台滝1番地1
施設名:秋田市総合環境センター溶融施設
3. 参加者数
1) し尿処理施設 27名
2) ごみ処理施設 27名
4. 施設および研修概要
1) 秋田市汚泥再生処理センター
処理方式:固液分離・希釈放流方式
処理能力:175kL/日
【研修概要】
秋田市汚泥再生処理センターは、搬入される浄化槽汚泥やし尿を効率的に処理し汚泥を助燃剤化し、生成された助燃剤は秋田市総合環境センターに運ばれ燃焼効率を上げる為に使用されており、見事に秋田市内で資源の有効利用のサイクルが出来上がっていると感じました。
はじめに、2階事務所にてビデオとスライドにて施設概要のご説明していただき質疑応答の後に受入室、資源化設備、脱臭設備を見学させていただきました。
施設内は清掃が行き届いており衛生的な印象を持ちました。さらに施設内で臭気を感じることはなく、一番臭気が発生する受入室でも殆ど臭気を感じることはありませんでした。汚い物を扱う施設だからこそ衛生的にし、市民からの印象を良くするのも大切だと感じました。
<施設を説明していただきました敦賀技師> <汚泥脱水機を見学する参加者>
2) 秋田市総合環境センター溶融施設
処理能力:460t/24Hr(230t×2炉)
処理方式:シャフト炉式ガス化溶融炉
発電能力:8,500kW
【研修概要】
秋田市総合環境センター溶融施設は、家庭ごみに加え、汚泥、リサイクルプラザから発生する残渣を溶融処理により再資源化可能な溶融物(スラグ・メタル)として最終処分量を極小化する施設で、平成14年3月に処理能力400t/d(200t×2炉)で竣工し、平成23年度に460t/dに能力増強工事が行われておりました。
溶融処理の過程で発生するエネルギーを熱・電力として回収し、場内熱利用及び売電を行い有効活用されておりました。また、秋田市総合環境センター内の一般廃棄物最終処分場跡地にはソーラー発電設備が設置されており、有効的な跡地利用がなされておりました。
5. おわりに
今回、施設見学研修を開催させていた頂いた秋田市は、「住みたい田舎ベストランキング」の若者世代・単身者部門で2年連続全国1位、その他の部門でも上位にランキングする都市であり、駅前は緑の芝生に覆われた広場になっており初めて目にする空間でありました。
施説見学研修会では秋田市の2施設で直接見聞きし大変有意義な施設見学研修会となりました。本報告は協会誌「環境施設マネジメント」78号に掲載予定です。
恒例行事である(一社)日本環境衛生施設工業会(JEFMA)と(一社)環境衛生施設維持管理業協会(JEMA)との技術交流会(廃棄物処理施設維持管理検討会)が令和6年6月20日に航空会館にて開催されました。
出席者は、JEFMA13名、JEMA16名の合計29名でした。
会議は、日本環境衛生施設工業会の野口事務長の挨拶で始まり、引き続きJEMAからの活動報告、JEFMAからの活動報告そして自由討議の順で進みました。
JEMAからの活動報告では稲田事務局長より、環維協の活動概要について説明があり、引き続き石川技術部会長より、技術部会の役割と活動方針、組織および活動報告がありました。最後に井上安全衛生部会長から安全衛生部会活動について説明を行いました。
JEFMAからは、技術委員会の横山委員長より、技術委員会の活動報告およびトピックスの報告をいただきました。トピックスの項目は以下のとおりです。
1.循環交付金制度の改訂(環境省)
2.大防法改正(水銀計測方法)
自由討議ではそれぞれの説明内容の質疑応答や「二酸化炭素の削減」、「焼却プラントの2系列、3系列の構成について」、「排ガス基準値の緩和について」、「施設建設コスト削減」、「プラットホームでの作業性向上」、「運転員の巡回点検回数の削減と監視カメラについて」、「煙突の位置」および「プラントの清潔性」などに関する活発な意見交換が行われ、有意義な交流会となりました。
この会議が、関係各社間の情報の共有化はもとより会員会社内で現場総合力の向上に向けた活動につながりますように期待しております。
<技術交流会全景>
JEFMA 野口事務長 挨拶 JEFMA 技術委員会 横山委員長
JEMA 石川技術部会長 JEMA 井上安全衛生部会長
令和6年3月14日、協会機関誌『環境施設マネジメント』の人気企画である「維持管理第一線/現場訪問記」の取材のため、大阪産業大学デザイン工学部環境理工学科4年の合田旭さんが、静岡県浜松市の浜松市西部清掃工場を見学しました。
「維持管理第一線/現場訪問記」は、大学生が環境施設の維持管理の現場を訪れ、学生の視点から自由にレポートする企画です。
浜松市西部清掃工場は、浜松市の一般廃棄物処理施設。キルン式ガス化溶融炉で高効率の発電を実現しているほか、隣接する古橋廣之進記念浜松市総合水泳場「ToBiO」に電気と蒸気を供給しています。マテリアルリサイクルとしては、ミックスメタル、溶融スラグ、排ガスから回収して精製した精製塩を再生利用しています。施設内には環境啓発施設「えこはま」を併設しており、市内の環境啓発の拠点として日々活発な活動を展開しています。
当日は施設の特徴についてお話を伺った後、実際に施設内を回り、熱分解ドラムが稼働しているところなどを間近で見学させていただきました。
元々、プラスチックごみを食べたウミガメの動画がきっかけで環境問題に興味を持ったという合田さん。西部清掃工場の近くはアカウミガメの産卵地となっていると知り、当日、急遽篠原海岸のごみ拾いも体験させていただきました。
さらに「ToBiO」では館長に広い施設内をご案内いただき、水泳場のモニターで清掃工場の発電量などをリアルタイムで確認できる様子を見ることができました。
【施設概要】
所在地: 静岡県浜松市中央区篠原町26098-1
竣工: 2009(平成21)年1月31日
処理能力: 494.7t/d(164.9t/24h×3炉)
処理方式:キルン式ガス化溶融炉
発電機出力:9,600kW
合田さんによる現場訪問記は、『環境施設マネジメント』78号(2024年9月発刊予定)に掲載します。
日 時:令和6年5月15日(水)
場 所:環維協会議室(Web会議併用)
出席者:20名 日環センター:7名、環維協:13名(内Web参加2名)
日環センター(一般財団法人 日本環境衛生センター)と環維協との水処理部門に関する技術交流会が、5月15日に開催されました。
環維協は会員会社7社、13名の参加者が集まり、環境衛生施設の最新の動向を知る貴重な機会とお互いの活動報告に続き情報交換・意見交換が活発に行われました。
1)議 題
(1)日環センターからの活動報告
① 精密機能検査業務の実施状況
② 長寿命化の総合計画の実施状況
③ PFI関連業務の実施状況
(2)環維協からの報告
① 環維協の組織と活動概要
② 技術部会報告
③ 安全衛生部会報告
2)自由討議
(1)日環センターに聞いてみたい
①地震などによる災害が増加しているが、汚泥再生センターの役割や活用方法などの新しい知見があれば教えてください。具体的な活用事例などはありますか。
一般の方への情報提供の具体例があれば教えてください。
② 長期包括契約の際に、インフレスライドの指標としては何を採用することが多いでしょうか(人件費、電気料金、燃料費、薬品費)?
また、基準月に対して変動の率を「±何%以上」とする契約が多いのでしょうか。
③ 2019年12月に「水質汚濁防止法第3条第3項の排水基準に関する条例」が改正され、播磨灘と大阪湾西部の沿岸域の下水道終末処理施設の規制緩和により排水基準が見直されましたが、今後は他の地域の規制緩和(条例等の見直し)も進むのでしょうか。また、し尿処理施設において、貧栄養化対策として栄養塩供給に取り組んでいる施設等あるのでしょうか。
(2)環維協に聞いてみたい
① インフラ長寿命化計画に基づき、自治体において個別施設ごとの長寿命化計画(施設保全計画)を策定することになっていますが、施設保全計画を自治体から策定依頼された事例はありますでしょうか。
② 運転管理委託されている施設の地域において災害が発生した場合、災害時の対応に要した費用は、自治体から支払われているのでしょうか。
③ 就職活動が売り手市場となり、賃金上昇も求められています。当センターにおいても若手職員の流動化がありますが、施設の委託管理において、現場職員の確保(特に1年以上の長期契約のケース等)に苦慮する状況はありませんでしょうか。また、採用職員の教育はどのように行っているでしょうか(本社or現場、等)
④ 最終処分場(浸出水処理施設)の管理業務について、以下の事項をご教示ください。
・業務委託の動向
・業務形態(最終処分場一括or浸出水処理施設のみ)
・レベル3の包括委託の実績
・最近の異常気象(集中豪雨)等で、苦慮している事例、等
⑤ 現在の諸情勢を勘案し、将来的に長期包括契約を推進するために改善や対応が必要と感じられている事項がありましたらご教示ください(実効的な清算手法やリスク管理、計画運用上の課題等)。
⑥ し尿中継所の管理実績、中継所に関係する業務の受託実績はあるでしょうか。
2024年度「環境施設総括管理士」新規申請者の募集を開始しました。
同時に3年毎の登録更新者の更新手続きも受付を開始しました。
一般社団法人 環境衛生施設維持管理業協会(略称、環維協)では2024年度の「環境施設総括管理士」新規申請者および登録更新者の募集を2024年5月17日に開始いたしました。応募締切は6月7日です。
新規応募者はこのあと、論文作成要領説明会(7月16日開催)、資格認定研修会(9月5日,6日開催)、論文審査(論文は9月24日締切)および口述審査(12月4日,5日開催)を経て、2025年1月の理事会で正式に認定されます。
この環境施設総括管理士は、環境衛生施設の運転・維持管理における最上位に位置する資格と自負しており、特に論文作成には廃棄物処理施設の計画・設計から運転維持管理までの幅広い知識が必要とされます。
応募資格は環維協の会員会社に在籍し、廃棄物処理に関する技術上の業務に申請時に10年以上の経験を有し、技術士または一般財団法人日本環境衛生センターの「廃棄物処理施設技術管理士」の資格を取得したもので、環境施設総括管理士認定後に配属される技術部会・安全衛生部会での部会活動に参画できることなどを条件としています。
多くの応募を期待しております。
応募の詳細は会員各社の協会窓口担当者へ送信しましたそれぞれの募集要項をご参照下さい。
・新規応募者の方…2024年度環境施設総括管理士 新規募集
・登録更新者の方…2024年度環境施設総括管理士 登録更新
環維協調査部会では、DBO事業や長期包括契約を実施している事業所の見学を行っていますが、新型コロナの影響で2019年からしばらくの間、視察を中断していました。
今年度は令和6年2月15日(木)に、22名の参加を得て、仙南地域広域行政事務組合「仙南クリーンセンター」の事業所見学会を開催しました。
同施設は、白石市、角田市、蔵王町、七ヶ宿町、大河原町、村田町、柴田町、川崎町、丸森町の2市7町からなる仙南地域広域行政事務組合が整備した、処理能力200T/日(100T/24H×2炉)のボイラ・タービン発電付全連続流動床式ガス化溶融炉を有しています。
事業方式はDBO方式で、(株)神鋼環境ソリューションを代表企業とする「(株)仙南環境サービス」がSPCとなり、平成29年4月より15年間の運営・維持管理を行っています。
見学会では神鋼環境メンテナンス(株)の向井様、佐藤様にご対応いただき、ビデオによる説明の後、施設見学を行い、会議室に戻ってから質疑応答を実施しました。
施設見学では、自然採光を活かした美しいデザインの管理棟で資源リサイクルの重要性を学んだ後、プラットホームやごみピット、ガス化溶融設備やタービン発電機等を見学しました。原寸大のごみクレーンイラストや、ガス化炉及び溶融炉のイメージ図に関する掲示があるほか、職員の方が3D プリンターとダンボールで作成した施設模型など、見やすく工夫を凝らした見学者設備を多く備えていることが印象的でした。また、最終処分場の掘り起こしごみを溶融処理しているなど、特徴的な取組みについても説明があり、参加者は関心を持って説明に聞き入っていました。また、質疑応答では、運営維持管理に関する具体的な質問に対しても快く回答していただき、理解を深めることができました。
信頼性の高い、優れた技術に基づく施設と、それを活かす優れた運営維持管理により、安全・安心はもとより、循環型社会形成の拠点としての役割を果たしていることが理解できた貴重な見学会となりました。
また、事業所見学会の後、令和5年度調査部会全体会議を仙南クリーンセンター内の会議室で開催しました。調査部会が毎年実施している受託実態調査や総合評価プロポーザル方式実績調査に関する報告や意見交換を行い、調査部会の年間活動成果を皆で共有しました。また、環維協全般に関する概要を稲田事務局長に説明して頂き、環維協活動に関する理解を深めることが出来ました。
調査部会では、今後も受託実態調査、総合評価プロポーザル方式実績調査、事業所見学会、調査部会全体会議の開催を通じて、会員各社による積極的な活動を推進して参ります。
<見学風景>
環維協の機関誌『環境施設マネジメント』77号を、2024年3月11日(月)に発行いたしました。
「巻頭言」は、国立環境研究所資源循環領域長の大迫政浩氏に「日欧の都市ごみ処理の違いはどこから来ているのか?」と題してご執筆いただきました。
「The Voice」コーナーでは、宮古島クリーンセンターにインタビューさせていただきました。
「現場訪問記」は、大阪産業大学の桑本航平さんに、今治市クリーンセンター「バリクリーン」を訪問していただきました。
定例の「維持管理技術講座」「現場からのレポート」なども充実しています。
『環境施設マネジメント』は、協会会員以外の方にもご購入いただけます。詳細は当協会WEBの「出版物一般案内」をご覧ください。
第2回総括管理士会・技術部会・安全衛生部会全体会議、合同意見交換会および総括管理士認証式が神戸市三宮グランドビル(神鋼環境メンテナンス(株)が入居)で開催されました。
日 時:令和6年3月7日(木) 12:30〜17:00
場 所:三宮グランドビル2階会議室(神戸市)
出席者:技術部会全体会議:49名、安全衛生部会全体会議:32名、
合同意見交換会および総括管理士認証式:88名
1.技術部会全体会議
石川技術部会長より技術部会の役割・組織・活動概要について説明がありました。
引き続き、技術部会の各グループ代表および各チームリーダーから、それぞれのグループ、チーム活動の詳細な報告等、年間活動の成果が発表されました。
<技術部会全体会議 会場全景> <石川技術部会長>
2.安全衛生部会全体会議
笠原安全衛生部会長より安全衛生部会の組織・安全成績・活動概要について説明がありました。引き続き、安全衛生部会の各グループ代表から、それぞれのグループ活動の詳細な報告等、年間活動の成果が発表されました。
<安全衛生部会全体会議 会場全景> <笠原安全衛生部会長>
3.合同意見交換会
全体会議での各部会での発表後、技術部会、安全衛生部会および総括管理士会のメンバーなどが参加して合同意見交換会が行われました。
まず、技術部会長、安全衛生部会長および総括管理士会代表から挨拶および活動報告が行われました。
<合同意見交換会 会場全景> <総括管理士会 川端代表>
個別報告として技術部会から施設調査・関連団体グループの土屋代表から日本環境衛生センターとの技術交流会および令和4年3月の福島県沖地震の災害に関する災害調査結果が報告されました。
安全衛生部会から「わが社の安全衛生活動」と題して、会員会社2社の事業所で取組んでいる安全衛生活動が紹介されました。
「わが社の安全衛生活動について」
新明和ウエステック(株)
管理グループ長
藤野 篤 様
4.総括管理士認証式
今回認定されたのは、新規総括管理士9名、更新認定者30名と再開認定者5名で、今回の登録者を含めて総括管理士の総数は121名となりました。(部門別内訳は、ごみ焼却:91名、粗大・リサイクル:13名、汚泥再生・浸出水:17名)
新規総括管理士は2日間の認定研修会を受講したうえで厳しい論文審査、口述審査に合格して、1月の理事会で承認され、今回の認証式に至りました。
認証式では近藤会長より新総括管理士一人ひとりに、また登録認定者、再開認定者は代表者に認定証が手渡されました。その後、新総括管理士が自己紹介と抱負を述べた後、保延資格審査委員長から、下記の講評がありました。
【保延資格審査委員長の講評】
今年度新たに総括管理士として認定された9名の皆さん、おめでとうございます。そして大変ご苦労様でございました。また、更新申請者30名、再開申請者5名および個人特別会員1名の方が総括管理士の活動を続けて頂くことに大変嬉しく、また心強く思います。
新規申請者の論文内容について簡単に触れますと、運営管理者として日常努力されている顧客満足を追求する工夫や経験の内容、労働災害のヒヤリ・ハットの認知と撲滅に関する課題回答が具体的であり関心を持ったところです。至近の運営案件はDBO方式が主流となっています。これまで自治体が中心で事業者は運転管理のみといった一辺倒から、地域住民と一体となった安全、安心、そして安定運転を完全に達成する施設管理を要求されています。このような背景と状況から皆さんにとって重要課題と認識されていることが伺えました。皆さんが主張した考えと行動を肝に銘じ、しっかりと活動して頂きたいと思います。
最後になりますが、総括管理士の皆さまには、より一層の自社での指導、支援と当協会での益々のご活躍を強くお願い申し上げます。
<認定証の授与> <保延審査委員長 講評>
新総括管理士の氏名・所属会社は以下の通りです。
第32期総括管理士(新規9名)
<ごみ焼却部門>
大浦 恒一: (株)川崎技研
関根 勝樹: 川重環境エンジニアリング(株)
松本 健: 川重環境エンジニアリング(株)
髙松 善一: 三機化工建設(株)
村井 洋介: 三機化工建設(株)
髙井 弘斗: JFE環境サービス(株)
岩堀 愛弘: 日鉄環境エネルギーソリューション(株)
鍛冶田 徹: Hitz環境サービス(株)
<リサイクル部門>
橿渕 剛: 極東サービスエンジニアリング(株)
更新認定者(14期、17期、20期、23期、26期)合計30名
・ごみ焼却部門 (24名) ・リサイクル部門 ( 3名)
・汚泥再生部門 ( 3名)
再開認定者者(5名)
・ごみ焼却部門 ( 1名) ・リサイクル部門 ( 1名)
・汚泥再生・浸出水部門 ( 3名)
【近藤会長の講評】
当協会の総括管理士には現場総合力の向上を担う運転維持管理のエキスパートとして、運転管理のスペシャリスト育成や、質の高い運転維持管理を提供するための指導者としての役割を担っていただくことを期待しております。
従業員の方々の先鋒として活躍され、各施設における安全・安心な運転維持管理の達成に尽力願いたいと思います。
さて、近年、施設運営の受託契約では複数年契約や長期包括契約あるいはDBO契約が増加しており、長期にわたる人材確保が必要になってきていることに対して、将来にわたって働き手不足が予想されています。各プラントメーカで、運転の自動化、AI化に力を入れていますが、取り扱うものが一般廃棄物である以上、全く人の手を介さないということはなかなか難しく、少ない人員で対応することが求められてくると思われます。このことからも、現場総合力を向上させ、運転維持管理のエキスパートを育成することが必要になります。
さらにプラント設備は高度化しており、これに対応した、より高度な操業技術が必要となってきています。また、脱炭素社会形成に向けた法改正、機能増強、防災拠点化等の社会ニーズの変化対応するため、操業技術だけでなく、最新の社会情勢や情報を入手し、施設の設計思想とのマッチングを考えていく必要があります。総括管理士の皆さんは、これらについてもご理解頂き、地域や時代の多様な要請に積極的に応えるという当協会の事業目標達成にも注力頂きたいと思います。
今後とも会員会社皆様のお力をお借りして、総括管理士の活躍する場をこれまで以上に広げていくとともに、総括管理士の資格者を増やし、技術レベルを上げ社会に認められる資格としていきたいと思います。
開催日: 令和6年2月16日(金)
場 所: 環維協会議室
日環センター(一般財団法人 日本環境衛生センター)と環維協とのごみ処理に関する技術交流会が、2月16日に開催されました。
出席者は日環センター6名、環維協12名の合計18名でした。会議は日環センターの佐藤理事の挨拶で始まり、引き続き日環センターからの活動報告、環維協からの活動報告そして自由討議の順で進みました。
環境衛生施設の最新の動向を知る貴重な機会となり、お互いの活動報告に続き、「リチウムイオン電池に起因する火災」、「DBO事業に関する確認事項」などの情報交換・意見交換が活発に行われました。
活動報告および自由討議の終了後、懇親会を4年ぶりに開催し、相互の有意義な技術交流会が行われました。
1)議題
(1) 日環センターからの活動報告
① 精密機能検査業務の実施状況
② 長寿命化の総合計画の実施状況
③ PFI関連業務の実施状況
(2) 環維協からの報告
① 環維協の組織と活動概要
② 技術部会報告
③ 安全衛生部会報告
2)自由討議
(1) 日環センターに聞いてみたい
① リチウムイオン電池に起因する火災について
② 焼却施設におけるカーボンニュートラル(CN)に向けて
③ DBO事業や長期包括事業の契約期間満了時の確認事項について
④ 運営で実施可能な二酸化炭素削減案について
⑤ 能登半島地震での廃棄物処理に関して
⑥ 廃掃法の改正について
⑦ プラッスチックに係る資源循環促進法の普及状況について
⑧ 廃棄物処理分野におけるAIの活用事例について
⑨ 廃棄物処理施設の健全性について
⑩ 災害復旧においてJEMAができること
⑪ 東日本大地震の経験が生かせること
⑫ DBO案件での用役費の高騰について
(2) 環維協に聞いてみたい
① リチウムイオン電池が原因の発煙・発火について
② 廃棄物処理業における人手不足の問題について
③ 廃棄物処理施設における運転員の高齢化について
④ 見回り点検の効率化とペーパーレス化の方法について
⑤ 半導体の不足について
⑥ コスト削減の一つとして設備の一部の屋外設置について
⑦ プラスチック使用製品廃棄物の回収と発熱量の低下について
⑧ DBOにおける委託費の減額措置について
⑨ 運営事業者から発注者への月報などでの報告内容について
当協会の令和6年の賀詞交歓会が、1月23日(火)に東京都港区の芝パークホテルで開催されました。
当日は環境省の幹部をはじめ関連団体から多くのご来賓のご出席をいただき、協会会員会社を合わせ約100名の方が参加し盛大な賀詞交歓会となりました。
開会に先立ち、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表して黙とうをささげました。改めて、近藤哲也会長が新年の挨拶を行い、そのあと今年の協会の活動目標を述べました。
「環維協は『地域に根ざして、社会を支える環維協』として、日本の環境衛生施設の運転維持管理業の健全な発展、安定した維持管理に貢献していきたいと思います。昨年、(株)日本管財環境サービス様および月島ジェイテクノメンテサービス(株)様に加入頂いたことにより、当協会加盟会社は20社となり、環境衛生施設の受託件数は1,062ヶ所、そこには17,300人を超える会員会社の運転員の方々が業務に携わっています。
当協会の目的である「会員相互の協力により、環境衛生施設の維持管理技術の研究・研鑽と安全で安定的な運営・作業管理の推進を通じて公共事業の使命に寄与すること」に基づき、次の施策に取り組んで参ります。
1点目は「現場総合力のさらなる向上」です。
「現場総合力のさらなる向上」を目指し、現場操業力の要素である「操業技術力」、「安全衛生推進力」および「運営管理力」をさらに高める施策に取り組んで参ります。
また、持続可能な社会づくりに向けた総合的な取り組みとして「環境持続性」「社会的包摂」「経済の発展」の3項目を意識した取り組みを継続すると共に、地球温暖化防止の観点からエネルギー使用量とCO2排出量の削減にも努めてまいります。
さらに、環維協は環境衛生施設総括管理士を筆頭とする運転維持管理のエキスパート集団としての事業発展に引き続き取り組んで参ります。
2点目は「事業環境変化、社会要求変化への対応」です。
環境衛生施設運営の受託契約では複数年契約や長期包括契約が増加し、新規の環境衛生施設市場においてもDBO発注が増えるなど、契約形態は大きく変化してきております。これら契約形態の変化に応じた技能向上を目指すと共に、環境衛生施設に対するエネルギー回収や資源化に対する機能増強、防災拠点としての期待に応えるべく、地域の関係者と協力した活動を進めて参ります。
「働き方改革」の一環として、新型コロナウイルス感染症対応、事業所内の労務・人事問題、定年延長、障害者雇用・職場開拓の調査に取組んで参ります。
3点目は「研修活動、広報活動への継続した取り組み」です。
事業所で活躍されている方を対象とした事業所管理者研修会を継続的に開催し、会員会社の枠を超えた研修・グループディスカッション等を通じて、今後も事業所における指導者としての能力向上を目指して参ります。
また、大規模自然災害への備えとして広く社会に活用してもらえるように「災害調査報告」や「JEMA(環維協)版BCP」をホームページに掲載しました。環境衛生施設の事業所運営における基礎的な知識・技術から具体的な施設運転・維持管理、日常の教育、技術の向上に役立てて頂くべく、「維持管理事業所運営の手引き」(運営管理・ごみ処理技術編、運営管理編・し尿処理技術編)の四訂版を発刊しました。
今年も、引き続きこのような取り組みを継続したいと考えております。今後とも関係各位のご指導、ご鞭撻をよろしくお願いします。」と決意を表明しました。
ご来賓の挨拶に移り、環境省 環境再生・資源循環局 次長 角倉一郎様からお話をいただきました。
「能登半島地震でお亡くなくなりなられた方にお悔やみ申し上げるとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。能登地域の廃棄物処理施設・し尿処理施設は全てが被災し、稼働停止となりましたが、いくつかは既に復旧しています。早期復旧に向けた皆様方のご尽力ありがとうございます。また、今なお早期復旧に向けて現場で携わっておられる皆様方に深くお礼申し上げます。
今回の震災で改めて、廃棄物処理施設・し尿処理施設が社会を支える基幹インフラとしてクローズアップされました。災害の時のこそ、こうした責任を果たすことで信頼を得て、期待に応えるものだと考えております。
また、脱炭素、資源循環の流れ、循環経済という形で大きな変革期を迎えております。循環基本計画の見直し、廃棄物処理システムの高度化に向けた制度改正に向けて取り組んで参ります。
この中で、運転の仕方によるCO2の削減、プラスチックリサイクルの進め方などの維持管理・運営のあり方は重要分野だと考えております。これらを考えるにあたって、皆様の意見を聞きながら、精一杯努力していきたいと考えております。」
続いて、日本廃棄物団体連合会会長で日本環境衛生センター理事長の南川秀樹様からご挨拶のあと、乾杯のご発声をいただき、歓談に移りました。
次に、環境省からお忙しいなかご列席いただきました環境省 大臣官房審議官 飯田博文様、環境再生・資源循環局の総務課長の波戸本尚様および廃棄物適正処理推進課長の松﨑裕司様からご挨拶を頂きました。
中締めは小武海副会長が行い、盛会裡に散会となりました。
環維協 近藤 哲也 会長 環境省 環境再生・資源循環局 角倉 一郎 次長
日本環境衛生センター 南川 秀樹 理事長 環維協 小武海 陽 副会長
日本の将来的な労働力人口の減少を見据えると、環境施設の安定的な維持管理業務を行うためには業務従事者のダイバーシティの推進は喫緊の課題であり、総務部会では様々な観点から継続的に議論を深めています。
去る12月7日に「維持管理事業所における女性活躍推進」をテーマに事例学習として、(株)シンキが受託運営を行っている「エコロジーパークこまつ」を訪問させていただきました。
(株)シンキは現在36名の女性従業員が在籍、女性管理職比率も43%と女性活躍が進んでいる企業で、当該施設でも事務・計量業務において5名の女性が活躍されています。
そのうちのお一人である広崎麻里様の案内のもと施設や計量職場を見学させていただいた後、意見交換を行いました。
意見交換では、女性従業員の皆さんが計量業務は市民と直接接するため、施設の顔であることを意識した応対を心がけていることや、正社員やパート社員といった雇用形態に関係なくマルチプレーヤーを目指していることなど仕事への思いや姿勢を具体的に伺うことができ、頼もしさを感じました。
また会社としても過去に女性がクレーン業務を担当されていた実績から、各人の希望に応じて活躍領域を広げていきたいと考えていること、いずれは夜勤を含めた運転や整備業務を担う女性従業員の輩出を目指しており、2028年までに女性従業員数を倍増させる目標を掲げられていることも伺いました。
その一方で、課題としてシャワー室や更衣室などの施設設備や、ダイオキシンばく露防止に関する法律による業務範囲の制約などを挙げられており、女性が運転業務に従事する難しさを再認識しました。
河合道夫社長から「焼却施設維持管理事業に関わる女性の母集団拡大や女性に対する周囲の意識の変化は一朝一夕に実現できるものではないため、長期的な視点で業界として取り組んでいく必要がある」とご意見をいただき、女性の活躍を実現するために総務部会として議論を深化させる必要性を考えさせられるきっかけとなりました。
最後になりましたが、ご協力くださいました(株)シンキの皆様ならびにエコロジーパークこまつの皆様に心より御礼申し上げます。
環維協の事業目的の達成に向けて
ー地域や時代の多様な要請に積極的に応える環維協ー
一般社団法人
環境衛生施設維持管理業協会
代表理事会長 近藤 哲也
新年明けましておめでとうございます。皆様には平素より当協会の諸活動に対しまして多大なるご理解とご支援を頂き、誠にありがとうございます。
年頭に際し、一言ご挨拶申し上げます。
昨年、株式会社日本管財環境サービス、月島ジェイテクノメンテサービス株式会社に加入いただいたことにより、当協会加盟会社は20社となりました。12月時点での環境衛生施設の受託件数はごみ焼却施設・リサイクル処理施設・汚泥再生処理施設・浸出水処理施設などを合わせて全国に1,062か所あり、17,300人を超える加盟各社の運転員の方々が日々業務に携わっております。
この数値を見ただけでも、当協会は日本の環境衛生施設運営の重要な役割を担っており、施設の存在する各地域の生活にとってなくてはならない存在となっていることがお分かり頂けると思います。
本年も「地域に根ざして、社会を支える環維協」として、日本の環境衛生施設の運転維持管理業の健全な発展、安定した維持管理に貢献して参りたいと考えております。
そのためにも、当協会の目的である、「会員相互の協力により、環境衛生施設の維持管理技術の研究・研鑽と安全で安定的な運営・作業管理の推進を通じて公共事業の使命に寄与すること」に基づき、次の施策に取り組んで参ります。
1点目は、「現場総合力のさらなる向上」です。
「現場総合力のさらなる向上」を目指し、「現場総合力」の要素である「操業技術力」、「安全衛生推進力」、「運営管理力」の実力をさらに高める施策に取り組んで参ります。又、持続可能な社会づくりに向けた総合的な取組として、「環境持続性」「社会的包摂」「経済の発展」の3項目を意識した取組を継続すると共に、地球温暖化防止の観点からCO2排出量を減らすような施設の整備・運転管理を実現するべく、適切な維持管理を通しエネルギー使用量とCO2排出量の削減にも努めて参ります。
さらに、環境施設総括管理士を筆頭とする運転維持管理のエキスパート集団としての事業発展に引き続き取り組んで参ります。そのためにも、総括管理士各位には「現場総合力向上」ための指導者として、事業所の安全・安定操業と適正な運営・維持管理能力向上を図るだけでなく、環境衛生事業の推進、発展に寄与する活動を推進されることを期待しております。
2点目は、「事業環境変化、社会要求変化への対応」です。
当協会を取り巻く事業環境や社会要求は時々刻々変化してきております。
環境衛生施設運営の受託契約では複数年契約や長期包括契約が増加し、新規の環境衛生施設市場においてもDBO発注が増えるなど、契約形態は大きく変化してきております。これら契約形態の変化に応じた技能向上を目指すと共に、環境衛生施設に対するエネルギー回収や資源化に対する機能増強、防災拠点としての期待に応えるべく、地域の関係者と協力した活動を進めて参ります。又、施設の運転自動化・遠隔運転監視・省力化などへの対応、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行等に対しても柔軟に対応することで、事業環境の変化に的確な対応を図れるよう進めて参ります。
「働き方改革」の一環として、新型コロナウイルス感染症対応、事業所内の労務・人事問題、定年延長、障害者雇用・職場開拓等の調査・研究にも取組んで参ります。これは、環維協の部会活動や事業所における女性や障害者が活躍できる職場開拓の推進を通じ、「より時代に合った環維協、より社会に開かれた環維協」を目指す活動の一環としても実施して参ります。
さらに、近年は電気・燃料などのエネルギーや資機材、人件費の高騰が顕著になっており、廃棄物処理に掛かる費用が増大しております。特にDBOなどの長期に亘る契約では、当初設定した単価ではこれらを調達することが困難となることもあり、発注者側の理解を得ながら適正価格への改訂についても積極的に働きかけて参ります。
3点目は、「研修活動、広報活動への継続した取り組み」です。
事業所の最前線で活躍されている方を対象とした事業所管理者研修会を開催し、会員会社の枠を超えた研修・グループディスカッション等を通じて、今後も事業所における指導者としての能力向上を目指して参ります。さらに各種活動成果はホームページ、各種出版物を通じて社会へ還元することを進めて参ります。
昨年、大規模自然災害への備えとして広く社会に活用してもらえるように「災害調査報告」や「JEMA(環維協)版BCP」の追加、改訂版をホームページに掲載しました。また、環境衛生施設の事業所運営における運営管理を始め、基礎的な知識・技術から具体的な施設運転・維持管理、日常の教育、技術の向上に役立てて頂くべく、法改正や環境衛生施設に対する社会や時代の多様な要請に対応した「維持管理事業所運営の手引き」(運営管理・ごみ処理技術編、運営管理編・し尿処理技術編)の四訂版を発刊しました。今年も、引き続きこのような取り組みを継続したいと考えております。
最後になりますが、当協会の活動には、関係省庁・自治体をはじめ関係機関の皆様方のご支援、並びに会員各社のご協力とご理解が欠かせません。今後とも関係する皆様方の引き続きのご指導、ご鞭撻よろしくお願いいたします。
企画運営委員会では環維協会員全社を対象とした視察見学会を計画実施していましたが、残念ながら新型コロナの影響で2019年からしばらくは中断していました。
5年ぶりとなる施設見学会は11月14日に長崎県佐世保市西部クリーンセンターを訪問しました。
企画運営委員9名と委員以外の参加者11名の合計20名でしたが、10月1日に会員資格を継承された(株)日本管財環境サービスからも早速に参加をいただきました。
運営側からは、SPCのエコサービス佐世保(株)、JFE環境サービス(株)事業所所長、極東サービスエンジニアリング(株)の事業所所長の各位に対応いただきました。ご多忙のところ対応いただき感謝いたします。
本施設は佐世保市の循環型社会形成を担う中核施設として、環境と安全に配慮し、長期的な視点からコスト削減と安定的な運営を図り、より質の高い事業運営を目指すことを目的とし計画され、DBO方式で令和2年4月よりSPCのエコサービス佐世保(株)による15年間の運営を開始されました。
施設は高効率ごみ発電と、マテリアルリサイクル推進施設で構成され、ごみ焼却発電はJFE環境サービス(株)、マテリアルリサイクルは極東サービスエンジニアリング(株)が担当されています。
設備の概要は、
ごみ発電施設は110t/日(55t/24h×2炉)の全連続燃焼式ストーカ炉と4.0Mpa×400℃の廃熱ボイラによる2,420kWの高効率ごみ発電施設です。なお、焼却灰はセメント原料として有効活用されています。
マテリアルリサイクル施設は破砕選別施設と缶類選別圧縮施設、ペットボトル圧縮梱包施設、ストックヤードで構成されています。
見学会は冒頭、口頭での概要説明とVTRでの説明のあと、見学者通路を利用しての見学を行いました。それぞれの見学ポイントにはビデオによる説明が装備されていました。
見学の途中から参加者からは様々な質問がなされるなど活発な意見交換が行われ、運転に携わるものとしての共通する課題などを共有することができました。
参加者からは、なかなかない他社の施設を見学する機会や、率直な意見交換の場は、貴重な経験となり今後の各社での施設運営に大いに参考になったとの感想がありました。
企画運営委員会では、今後も加盟全社を対象とした施設見学会を企画しますので、各社からの積極的な参加をよろしくお願いします。
「第36回事業所管理者研修会」がアジュール竹芝で令和5年11月9日(木)、10日(金)の2日間にわたって開催された。今回は受講者を79名(ごみグループ67名、水グループ12名)に絞り、十分なコロナ対策を実施しての開催となった。
【1日目】
はじめに近藤協会会長が開講挨拶を行った。近藤会長は「環維協の事業目的は『会員相互の協力により、環境衛生施設の維持管理技術の研究・研鑽と安全で安定的な運営、作業管理の推進を通じて公共事業の使命に寄与すること』であり、各事業所において指導者としての能力を十二分に発揮し、安全・安定操業と適正な運営・維持管理を達成することで、広く地域社会に貢献していただくことを切望します。」と激励された。
続いて稲田事務局長より環維協の組織と活動概要説明があり、1日目の全体研修が始まった。
<第36回事業者管理者研修会 開講> <近藤会長 開講挨拶>
<全体研修>
◆「自治体のごみ処理の現況と今後」
(公社)全国都市清掃会議 技術顧問 荒井 喜久雄氏
日本のごみ処理の現況説明から始まり、これらのごみ処理施設は、取り巻く環境変化とともに高度化されていく。現在、人口減少、プラスチック資源循環、カーボンニュートラル等の課題により、ごみ量・ごみ発熱量は減少していくものと思われる。
そのため、『処理方式の多様化』『一層の広域化』『民間活力活用の範囲が広がる』ことが考えられ、『ごみ処理の脱炭素化、施設の再編・統合』『国・都道府県・市町村の役割分担の見直し』等新たなごみ処理の枠組みが必要になると講演された。
◆「脱炭素社会実現を目指す政策の廃棄物処理への影響」
(一財)日本環境衛生センター 環境事業第一部 次長 寺内 清修氏
脱炭素の実現に向けた動向から、廃棄物・資源循環分野の法律・計画についてご説明され、温室効果ガス排出削減技術の概要及びプラスチック類等の分別回収・資源化の紹介、最後に今後の廃棄物処理動向について講演された。
その後、青木広報部会長による協会誌である環境施設マネジメントと環維協のホームページについての紹介があり昼食休憩となった。
<荒井 喜久雄氏> <寺内 清修氏>
午後からは、ごみグループと水グループに分かれ専門技術講座、事業所紹介、ごみ処理・水処理Q&Aおよびグループディスカッションが行われ第1日目を終了した。
(ごみグループ)
専門技術講座(1):「ごみ処理施設の整備・運営におけるコストの考え方―今後の対応と課題―」
(一財)日本環境衛生センター 環境事業第一部 部長 藤原 周史氏
『日本の廃棄物施策の変遷』『脱炭素社会に向けたごみ処理の取組み』『今後のごみ処理の行方』ご紹介され『低コスト化に向けた取組み』が必要であり数々のコスト削減に向けたご提案例をご紹介された。
・事業所紹介:「荏原環境プラント(株) 横手管理事務所」
荏原環境プラント(株) 所長 田中 伸也氏
横手市の魅力紹介から始まり、施設の概要紹介、施設運営の取組(再生家具の提供、渋滞情報提供等)についてご説明された。
(水グループ)
専門技術講座(1):「し尿処理・汚泥再生処理施設に係る現代の運転管理」
(一財)日本環境衛生センター 環境事業第三部 次長 稲田 隆治氏
廃棄物処理施設整備計画における長寿命化・延命化の流れ、近年の施設運転条件の変化についてご説明され、これらの変化に合わせて保安計画を見直していかなければならないことから、保安計画策定上の課題および予知保全のイメージ例を紹介しLCC最適化を目指した保全計画を策定していくようご講演された。
・事業所紹介:「住友重機械エンバイロメント(株) 奈良かつらぎ事業所」
住友重機械エンバイロメント(株) 所長 東浦 光作氏
御所市の紹介から始まり、奈良かつらぎ事業所の概要説明として、施設の特徴、管理体制、各主要設備について説明された。
・ごみ処理Q&A・水処理Q&A
研修会受講者より出された質問に対しての回答説明が行われ、質問者からも回答に対しての意見を発言してもらった。
・グループディスカッション
地域毎に10の班を編成して、自己紹介に続き1部は「熱中症対策」「労務問題」「水害対策と災害ごみ」から選択し、2部は「事業所の課題など」をテーマに自由に討議を行った。
<藤原 周史氏> <稲田 隆治氏>
<グループディスカッション> <グループディスカッション>
【二日目】
研修の2日目は、前日に引き続きごみグループと水グループに分かれ専門技術講座(2)から執り行われ、その後、専門技術講座(3)から全体研修となった。
(ごみグループ)
専門技術講座(2):「廃棄物処理施設における脱炭素への取り組み(その2)」
(一社)日本環境衛生施設工業会 技術委員長 横山 唯史氏
はじめに、AI、DXのご説明から廃棄物処理施設におけるDXとして、日本環境衛生施設工業会加盟各社が取り組んでいる遠隔監視技術、安定稼働に寄与する技術、作業員の負荷軽減技術について具体的にご説明された。
(水グループ)
専門技術講座(2):「し尿・汚泥再生処理分野でのデジタル技術活用」
(一社)日本環境衛生施設工業会
日立造船(株) 環境事業本部 水処理設計部
廃棄物設計グループ グループ長 楠本 守央氏
し尿処理施設(汚泥再生処理センター)を取り巻く社会背景と制度の変遷のご説明から始まり、DX(Digital Transformation)について15例のし尿処理施設・廃棄物業界でのデジタル技術ついてご説明された。
<全体研修>
専門技術講座(3):「労働安全衛生法関係法令の改正―新たな化学物質規制―」
(特別民間法人)中央労働災害防止協会 関東安全衛生サービスセンター
技術専門役・衛生管理士 成岡 正明氏
はじめに化学物資による労働災害の発生状況から始まり、労働安全衛生法の新たな化学物質規制として、職場における新たな化学物質の規制の概要と化学物資管理者、保護具着用管理責任者、化学物質を事業場内で別容器に保管する際の措置の強化について詳しくご説明された。
<横山 唯史氏> <楠本 守央氏>
午前の最後として石川技術部会長より環維協技術部会の活動紹介とその成果物の報告があり、午後から、労務・安全衛生管理についてのプログラムを催し、基調講演とパネル討論が行われた。
基調講演(1):「現場の人事・労務管理〜健康上の配慮が必要な従業員への対応〜」
(株)OHコンシェルジュ 代表 東川 麻子氏
健康上配慮が必要な従業員への対応について、就業措置の決定権は会社にあり、会社として就業条件を定め、本人、主治医、産業医の意見・意思を確認しておくようご説明された。
最後に会社に理解のある産業医を探しましょうと締めくくられた。
基調講演(2):「労働災害を防ぐために〜元労働基準監督官の経験と想いから〜」
神鋼環境メンテナンス(株) 顧問(社会保険労務士) 茶園 幸子氏
いろいろな災害事例の紹介があり、これらの災害は人の特性(思い込み・近道行動等)によるものが多く、ヒヤリハット等を参考にし、「人の特性を踏まえた安全管理」を実施していくよう講演された。
基調講演に続いて「事業所の労務管理」について、サブテーマとして「健康上の配慮が必要な従業員への対応」「労働災害発生時の対応について」を題材に、ゲストおよびパネラーに加え受講者の質問も交えて、モデレーターの進行によってパネルディスカッションが行われた。
<東川 麻子氏> <茶園 幸子氏>
<パネルディスカッション>
最後に石川技術部会長の閉会の挨拶および修了証の授与があった。
石川部会長は「皆さんは、顧客の了承を得てこの研修に参加いただいていると思います。顧客にも今回の研修について、テキストを見せて報告していただきたい。研修内容は、グループディスカッション・労務管理等普段できない内容となっています。今後もより良い研修なるようにしていきます。」閉会の辞を述べた。続いて修了証を代表者に授与して、閉会とした。
<石川技術部会長 閉会挨拶> <修了証授与>
研修会の詳細については、「環境施設マネジメントNo77」(2024年3月発刊予定)に掲載しますので、一読ください。
安全衛生部会の安全衛生優良事業所見学・研修会が昨年に引き続き開催されました。
1.開催日 2023年10月20日(金)
2.見学施設 富士吉田市環境美化センター(山梨県富士吉田市)
3.参加人数 10社 21名
4.施設概要
(1)処理能力 : 170t/日 (85t/24h×2炉)
(2)炉形式 : 全連続燃焼式焼却炉
(3)竣工 : 平成15年3月(令和2年度に基幹的改良工事を実施)
5.見学・研修内容
安全衛生部会として毎年実施している優良事業所見学・研修会を、今年度は川重環境エンジニアリング(株)が運転維持管理業務を受託されている富士吉田市環境美化センターにて開催させていただきました。
まずはじめに、富士吉田事業所の工藤所長様から施設概要ならびに安全衛生管理の取り組みについて説明していただきました。その中で、①安全意識の高揚、②指差呼称の推進、③作業手順書の改訂、④災害事例からの水平展開、⑤作業手順書の確認方法、⑥KYT活動について丁寧な報告がありました。
説明の後、3班に分かれて工藤所長様、渡辺副所長様及び渡邊副所長様から解説をいただきながら施設見学させてもらいました。
施設内は各所に注意表示があり、また作業場所には作業手順書が掲示され、安全意識の高さを伺い知ることが出来ました。
工藤所長様より、今後も慢心することなく、KYT活動により、危険に対する感性を高め、常に危機感を持って活動していきたいとの力強いお言葉がありました。
なお、当研修会の際に必ず実施している安全祈願につきましては、世界文化遺産「富士山」の構成資産である北口本宮冨士浅間神社にて二礼二拍手一礼の作法で、実施しました。
見学・研修をさせていただいた富士吉田市環境美化センターならびに関係者の皆さまには大変お世話になりましたことに改めて感謝申し上げます。
コロナ禍のため2020年〜2022年と中止していた第30回海外環境衛生施設視察を4年ぶりに10月 1日(日)〜8日(日)の現地5泊、機内2泊の8日間で、イタリアのごみ焼却施設、リサイクル施設、水処理施設の3ヵ所3施設を回る行程で実施しました。
視察団は小武海団長、大黒田副団長以下合せて11社19名に事務局1名を加え、20名の参加者となり、また現地は天気にも恵まれ、事故やトラブルもなく、予定どおりの行程で視察を終え、笑顔で帰国することができました。
視察の概要は以下のとおりです。(視察順)
1.A2Aアンビエンテ社 アセラごみ焼却・発電施設
(A2A Ambient S.p. Accerra Termovarizzatore)
ナポリ市(イタリア)
視察したアセラ廃棄物発電所は、イタリア ナポリ市の北約30Kmに位置しており、ナポリ市などが属するカンパニア州の分別取集されずリサイクルできないごみの70%を焼却し、発電施設によりエネルギー回収を行っている。カンパニア州においては廃棄物分別収集率が50%を超えており、プラスチック、金属、紙、生ごみがリサイクルされているため、廃棄物の発熱量低下が心配されるが、受け入れる分別収集されていない水分の多いごみ(有機性廃棄物)は前処理にて水分を減したものを受け入れているため、ごみ発熱量の低下は無いとのこと。
ごみ処理費用は、州政府が一定額負担し、各都市はごみ税から費用負担をしている。なお、施設立地自治体の負担額は安く設定されている。
施設の維持管理では、ボイラ仕様は蒸気温度500℃、蒸気圧力90barと高いが、実際の操業においてはボイラ過熱器等の損傷・寿命を考えて460℃〜470℃、77bar〜80barと下げて運転している。
本施設を含む焼却処理施設の設置に強い住民反対があったためか、雇用確保と住民対応として地域などから数多くの学生などの見学者を受け入れるとともに、構内にミツバチを飼っており排ガスなどの安全性を強調している。
本施設の運営管理はA2A社グループのA2Aアンビエンテ社が2010年3月より行っている。なお、親会社のA2A社は2008年ユーティリティ企業AEMとASMが合併ししてできた株式会社で、ミラノ市、ブレシア市がそれぞれ株式の25%所有しており、A2A社グループは、廃棄物発電施設を7施設、MBTを9施設など保有、運営している。
A2Aアンビエンテ社 アセラごみ焼却・発電施設 説明風景
小武海団長のイタリア語での挨拶
(対応者)パオロ・ロッシニョーリ氏 地域熱供給施設責任者/カンパーニャ州
全施設責任者
「A2Aアンビエンテ社 アセラごみ焼却・発電施設 中央制御室」
「A2Aアンビエンテ社 アセラごみ焼却・発電施設 集合写真」
2.エコロジー ヴィテルボ社 カザーレ・ブッシMBT施設
(ECOLOGIA VITERBO s.r.l. Impianto di Trattamento Meccanico Biologico in Loc. Casale Bussi )
ヴィテルボ市(イタリア)
視察したカザーレ・ブッシMBT施設は、ローマ市から北に90kmの所にあるヴィテルボ市西部の農業地域にあり、ラツィオ州のヴィテルボ県とリエティ県の分別収集されていない混合都市固形廃棄物を受入れて処理している。1日の最大処理能力は約600トンである。
このMBT(機械的生物学的処理 Mechanical Biolgical Treatmennt)プラントでは、混合廃棄物を破砕、選別、ふるい分けによって可燃物、不燃物、有機性廃棄物分けて、可燃物からはRDF(廃棄物由来燃料)製造し、不燃物から鉄、アルミニュウムを回収し、有機性廃棄物は生物処理(コンポスト化処理)にてFOS(安定化有機物)を生成している。
RDFは圧縮梱包し廃棄物発電所の燃料として、国内およびポルトガルやデンマーク・スペインに逆有償にて輸出している。FOSは、生物処理によりBOD(生物化学的酸素要求量)が埋立基準の1,000ppm以下となり埋立処理される他、含水率も発酵熱で減少するため、廃棄物発電所に搬送し焼却処理される。
エコロジー ヴィテルボ社は2004年に Ecologia 2000 S.p.A とViterbo Ambiente S.c.a.r.l.の廃棄物処理部門が合併してできた会社で、廃棄物リサイクル部門全体で事業を展開し、MBT施設、堆肥化施設、無害廃棄物埋立地運営管理する民間会社である。"
エコロジー ヴィテルボ社 カザーレ・ブッシMBT施設 説明風景
(対応者)パオロ・マグリー二氏 建築家 MBT施設テクニカルデレクタ―
「エコロジー ヴィテルボ社 カザーレ・ブッシMBT施設 説明風景」
「エコロジー ヴィテルボ社 カザーレ・ブッシMBT施設 集合写真」
3.パブリアクア社 アンコネッラ飲料水工場(水処理施設・浄水場)
(Publiacqua S.p.A Impianto di potabilizzazione Anconella)
フィレンツェ市(イタリア)
視察施設は視察先都合により下水処理施設ではなく飲料水工場(水処理施設・浄水場)となった。
視察先のアンコネッラ飲料水工場はフィレンツェ市のアルノ川河畔に位置している。アンコネッラ飲料水工場は、アルノ川の水を水源として浄化することを目的として4,000L/sの流量で設計されている。供給対象人口は約127万人で水道管総延長は7,162kmである。
当初アルノ川の水質は降雨の影響を受けていたが、上流にピランテーノダムが完成してからは、水質が大幅に改善された。
水道水は直接口にするものであることから、処理工程では細心の注意が必要である。特に有害物質の混入は直ちに発見できなければならない。アンコネッラ飲料水工場では、取水から配水までの工程20カ所に測定モニターを設置して、24時間監視をしている。また、定期的に公定法による水質分析を実施している。
日本では水道水は飲料水として自然に受け入れられているが、イタリアでは飲料水は買うもの、いわゆるミネラルウォーターという考えが根強い。そこで、アンコネッラ飲料水工場では、見学者に対して(特に子供の見学者に対して)飲料水として認識してもらう啓発活動に取り組んでいることが、とても印象的であった。
パブリアクア社は複数の自治体が60%、民間企業Acque Blu Fiorentine S.p.Aが40%の株を持つ半官半民の企業で飲料水の製造/浄水場と供給、廃水の収集とその浄化を行っており、統合水道サービスを提供する会社である。本施設の近くにある下水処理施設も運転管理しており、下水道管総延長は3,767kmとのこと。
パブリアクア社 アンコネッラ飲料水工場/水処理施設・浄水場 説明風景 記念品贈呈
(対応者)ダリア・キエリーニ氏 施設見学案内担当者
「パブリアクア社 アンコネッラ飲料水工場/水処理施設・浄水場 説明風景」
「パブリアクア社 アンコネッラ飲料水工場/水処理施設・浄水場 集合写真」
全ての視察先で、事業の成り立ち、操業体制、今後の展開等について熱心に説明があり、また質疑応答や施設見学に予定時間を超過して対応していただきました。それぞれ異なる事業主体での処理体制を視察し、その背景や考え方を知ることができ、日本との違いを含めて、今後の業務を進めていく上で、おおいに参考となる有意義な視察となりました。
視察の詳細は当協会の機関誌「環境施設マネジメント」77号(来年3月発行予定)に掲載する予定ですので、ぜひご一読いただければと思います。