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令和5年度(第36回)事業所管理者研修会開催される2023年11月14日




「第36回事業所管理者研修会」がアジュール竹芝で令和5年11月9日(木)、10日(金)の2日間にわたって開催された。今回は受講者を79名(ごみグループ67名、水グループ12名)に絞り、十分なコロナ対策を実施しての開催となった。

【1日目】
はじめに近藤協会会長が開講挨拶を行った。近藤会長は「環維協の事業目的は『会員相互の協力により、環境衛生施設の維持管理技術の研究・研鑽と安全で安定的な運営、作業管理の推進を通じて公共事業の使命に寄与すること』であり、各事業所において指導者としての能力を十二分に発揮し、安全・安定操業と適正な運営・維持管理を達成することで、広く地域社会に貢献していただくことを切望します。」と激励された。

続いて稲田事務局長より環維協の組織と活動概要説明があり、1日目の全体研修が始まった。
  
<第36回事業者管理者研修会 開講>  <近藤会長 開講挨拶>
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<全体研修>
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◆「自治体のごみ処理の現況と今後」
(公社)全国都市清掃会議 技術顧問 荒井 喜久雄氏
日本のごみ処理の現況説明から始まり、これらのごみ処理施設は、取り巻く環境変化とともに高度化されていく。現在、人口減少、プラスチック資源循環、カーボンニュートラル等の課題により、ごみ量・ごみ発熱量は減少していくものと思われる。
そのため、『処理方式の多様化』『一層の広域化』『民間活力活用の範囲が広がる』ことが考えられ、『ごみ処理の脱炭素化、施設の再編・統合』『国・都道府県・市町村の役割分担の見直し』等新たなごみ処理の枠組みが必要になると講演された。
 
◆「脱炭素社会実現を目指す政策の廃棄物処理への影響」
(一財)日本環境衛生センター 環境事業第一部 次長 寺内 清修氏
脱炭素の実現に向けた動向から、廃棄物・資源循環分野の法律・計画についてご説明され、温室効果ガス排出削減技術の概要及びプラスチック類等の分別回収・資源化の紹介、最後に今後の廃棄物処理動向について講演された。

その後、青木広報部会長による協会誌である環境施設マネジメントと環維協のホームページについての紹介があり昼食休憩となった。
 
<荒井 喜久雄氏>          <寺内 清修氏>
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午後からは、ごみグループと水グループに分かれ専門技術講座、事業所紹介、ごみ処理・水処理Q&Aおよびグループディスカッションが行われ第1日目を終了した。

(ごみグループ)
専門技術講座(1):「ごみ処理施設の整備・運営におけるコストの考え方―今後の対応と課題―」
(一財)日本環境衛生センター 環境事業第一部 部長 藤原 周史氏
『日本の廃棄物施策の変遷』『脱炭素社会に向けたごみ処理の取組み』『今後のごみ処理の行方』ご紹介され『低コスト化に向けた取組み』が必要であり数々のコスト削減に向けたご提案例をご紹介された。

・事業所紹介:「荏原環境プラント(株) 横手管理事務所」
荏原環境プラント(株) 所長 田中 伸也氏
横手市の魅力紹介から始まり、施設の概要紹介、施設運営の取組(再生家具の提供、渋滞情報提供等)についてご説明された。

(水グループ)
専門技術講座(1):「し尿処理・汚泥再生処理施設に係る現代の運転管理」
(一財)日本環境衛生センター 環境事業第三部 次長 稲田 隆治氏
廃棄物処理施設整備計画における長寿命化・延命化の流れ、近年の施設運転条件の変化についてご説明され、これらの変化に合わせて保安計画を見直していかなければならないことから、保安計画策定上の課題および予知保全のイメージ例を紹介しLCC最適化を目指した保全計画を策定していくようご講演された。

・事業所紹介:「住友重機械エンバイロメント(株) 奈良かつらぎ事業所」
住友重機械エンバイロメント(株) 所長 東浦 光作氏
御所市の紹介から始まり、奈良かつらぎ事業所の概要説明として、施設の特徴、管理体制、各主要設備について説明された。

・ごみ処理Q&A・水処理Q&A
研修会受講者より出された質問に対しての回答説明が行われ、質問者からも回答に対しての意見を発言してもらった。

・グループディスカッション
地域毎に10の班を編成して、自己紹介に続き1部は「熱中症対策」「労務問題」「水害対策と災害ごみ」から選択し、2部は「事業所の課題など」をテーマに自由に討議を行った。
   
<藤原 周史氏>            <稲田 隆治氏>
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<グループディスカッション>     <グループディスカッション>
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【二日目】
研修の2日目は、前日に引き続きごみグループと水グループに分かれ専門技術講座(2)から執り行われ、その後、専門技術講座(3)から全体研修となった。

(ごみグループ)
専門技術講座(2):「廃棄物処理施設における脱炭素への取り組み(その2)」
(一社)日本環境衛生施設工業会 技術委員長 横山 唯史氏
はじめに、AI、DXのご説明から廃棄物処理施設におけるDXとして、日本環境衛生施設工業会加盟各社が取り組んでいる遠隔監視技術、安定稼働に寄与する技術、作業員の負荷軽減技術について具体的にご説明された。

(水グループ)
専門技術講座(2):「し尿・汚泥再生処理分野でのデジタル技術活用」
(一社)日本環境衛生施設工業会
日立造船(株) 環境事業本部 水処理設計部 
廃棄物設計グループ グループ長 楠本 守央氏
し尿処理施設(汚泥再生処理センター)を取り巻く社会背景と制度の変遷のご説明から始まり、DX(Digital Transformation)について15例のし尿処理施設・廃棄物業界でのデジタル技術ついてご説明された。

<全体研修>
専門技術講座(3):「労働安全衛生法関係法令の改正―新たな化学物質規制―」
(特別民間法人)中央労働災害防止協会 関東安全衛生サービスセンター
技術専門役・衛生管理士 成岡 正明氏
はじめに化学物資による労働災害の発生状況から始まり、労働安全衛生法の新たな化学物質規制として、職場における新たな化学物質の規制の概要と化学物資管理者、保護具着用管理責任者、化学物質を事業場内で別容器に保管する際の措置の強化について詳しくご説明された。
  
<横山 唯史氏>            <楠本 守央氏>
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午前の最後として石川技術部会長より環維協技術部会の活動紹介とその成果物の報告があり、午後から、労務・安全衛生管理についてのプログラムを催し、基調講演とパネル討論が行われた。

基調講演(1):「現場の人事・労務管理〜健康上の配慮が必要な従業員への対応〜」
(株)OHコンシェルジュ 代表 東川 麻子氏
健康上配慮が必要な従業員への対応について、就業措置の決定権は会社にあり、会社として就業条件を定め、本人、主治医、産業医の意見・意思を確認しておくようご説明された。
最後に会社に理解のある産業医を探しましょうと締めくくられた。

基調講演(2):「労働災害を防ぐために〜元労働基準監督官の経験と想いから〜」
神鋼環境メンテナンス(株) 顧問(社会保険労務士) 茶園 幸子氏
いろいろな災害事例の紹介があり、これらの災害は人の特性(思い込み・近道行動等)によるものが多く、ヒヤリハット等を参考にし、「人の特性を踏まえた安全管理」を実施していくよう講演された。

基調講演に続いて「事業所の労務管理」について、サブテーマとして「健康上の配慮が必要な従業員への対応」「労働災害発生時の対応について」を題材に、ゲストおよびパネラーに加え受講者の質問も交えて、モデレーターの進行によってパネルディスカッションが行われた。
  
<東川 麻子氏>           <茶園 幸子氏>
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<パネルディスカッション>
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最後に石川技術部会長の閉会の挨拶および修了証の授与があった。
石川部会長は「皆さんは、顧客の了承を得てこの研修に参加いただいていると思います。顧客にも今回の研修について、テキストを見せて報告していただきたい。研修内容は、グループディスカッション・労務管理等普段できない内容となっています。今後もより良い研修なるようにしていきます。」閉会の辞を述べた。続いて修了証を代表者に授与して、閉会とした。

<石川技術部会長 閉会挨拶>     <修了証授与>
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研修会の詳細については、「環境施設マネジメントNo77」(2024年3月発刊予定)に掲載しますので、一読ください。