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第28回海外環境衛生施設視察を実施2018年10月29日




今年度の第28回海外環境衛生施設の視察は、10月 4日(木)〜11日(木)の8日間で、
フランス、イタリアのごみ焼却施設、リサイクル施設、下水道処理施設の3ヵ所4施設を
回る行程で実施しました。
視察団は山上団長、横山副団長以下合せて12社23名に事務局1名を加え、24名の
参加者となり、また現地は天気にも恵まれ、事故やトラブルもなく、予定どおりの行程で
視察を終え、帰国することができました。

視察の概要は以下のとおりです。(視察順)
1.GENERIS VEOLIA(ジェネリス ヴェオリア)/VAUX LE PENIL(ヴォー・ル・ペニル)
ごみ焼却発電施設・リサイクル施設/CIVIS77
フランスでは自治体が責任をもってごみ処理を行うことが法律で決められているが、
各自治体の規模が小さいため、県の指導により自治体共同組合をつくり、大きなごみ
処理施設を建設・所有し、運転維持管理を民間に委託している。
視察先のセーヌ・エ・マヌル県の67自治体からなる自治体共同組合のSMITOM-LOMBRC
(家庭用ごみ処理組合-ミミズ:1997年創立)は、1か所のごみ焼却発電施設・リサイクル
施設、11か所の廃棄物分別回収所、3か所の積替転送施設、2か所のコンポスト化施設、
1か所の粗大廃棄物解体分別場を所有し、ジェネリス ヴェオリアが運転維持管理を
行っている。対象人口は約30万人。今回の視察先のCIVIS77焼却エネルギーセンターは、
ごみ焼却発電施設とリサイクル施設(分別処理施設)が設置されている。
ごみ焼却プラントは2系列で焼却量は130,000t/年。
自治体協同組合は環境負荷のさらなる軽減と、熱回収(熱生産)の改善向上のため投資
することを決定し、施設の改造を進めている。
ごみ処理費用については家庭ごみ引取税(居住面積に比例)と所定のごみ箱の大きさで
決まった費用を徴収している。

VAUX LE PENIL(ヴォー・ル・ペニル)/GENERIS VEOLIA(ジェネリス ヴェオリア)
ごみ焼却発電施設・リサイクル施設/CIVIS77 
<集合写真>                    <自治体共同組合SMITOM(スミトム)の副議長>
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2.Termo Trezzo(テルモ トレッゾ)ごみ焼却発電施設/Trezzo sull'Adda(トレッツォ・スッラッダ)
テルモ トレッゾごみ焼却発電施設はファルクグループのファルク リニュアブル(株)
傘下のプリマ(有)がプラントを所有しアンビエンテ2000(有)が運転を行っている。
当施設はロンバルディア州の約100の自治体と契約をし、家庭から排出される可燃ごみと
分別された企業排出ごみを処理している。
ロンバルディア州以外のローマやナポリのごみも受け入れている。また、薬品や化粧品
廃棄物も4,000t/年程度処理している。
ごみ焼却プラントは2系列で、焼却処理量は180,000t/年、日平均530tとイタリアの平均的な
規模である。ごみ受け入れ時には放射能を含め危険物の検査を実施している。
事業運営費用は110ユーロ/ごみトンの処理委託費と売電により賄っている。
規制排ガス濃度はデータ転送によりリアルタイムで州に送られ管理されている。

Trezzo sull'Adda(トレッツォ・スッラッダ)
Termo Trezzo(テルモ トレッゾ)ごみ焼却発電施設
<説明風景>                     <中央制御室>
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3.GRUPPO CAP(グルッポ キャップ)Niguarda-Bresso(二グアルダ-ブレッソ) 下水処理施設/Milano(ミラノ)
グルッポ キャップは2013年よりミラノ県150万人への水関連サービスを提供している。
196の自治体と4つの企業から資金援助を受けており、公共の水源管理を行っている。
グルッポ キャップは一般の民営企業と同じ株式会社ではあるが、株主は全員が自治体の
首長である。これは住民投票により人の安全にかかわる上下水道事業は公共のもので
なければならないと決まっているためである。
上下水施設に常駐する職員は少なく、多くの施設が巡回とリモート監視・運転(24h/日、
7日/週)を行っている。トラブル発生時には駆け付け対応する。
なお、下水処理プラントではバイオガス発電を行っており、下水処理で発生した汚泥は
農業や埋め立て、乾燥、セメント原料、堆肥生産などに再利用されている。
今回視察の下水処理施設は、ブレッソ、チニゼッロ・バルサモ、コルマーノ、カッサーノ、
ミラノ・デ・バルノ・ダグナノの自治体の下水を処理しており、 対象人口22万人で、
処理水の25%は工業用水や道路洗浄用に使用され残りは放流されている。
汚泥は農業や道路に使用し、残りの一部を焼却処理している。沈砂の一部は洗浄し
埋設管の埋め戻しに使用している。
下水汚泥からバイオガスを発生させ、ガスエンジンにより発電しているが、バイオガスを
さらに精製し99%メタンのバイオメタン燃料として試験的に使用している。
イタリアの国策としてメタンガスを供給することに優遇措置が取られている。
バイオメタン燃料製造施設の本格稼働を11月から行う予定。

Milano(ミラノ) GRUPPO CAP(グルッポ キャップ)
Niguarda-Bresso(二グアルダ-ブレッソ) 下水処理施設  
<集合写真>                     <記念品贈呈>
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全ての視察先で、事業の成り立ち、操業体制、今後の展開等について熱心に説明があり、
また質疑応答や施設見学に予定時間を大幅に超過して対応していただきました。
それぞれ異なる事業主体での処理体制を視察し、その背景や考え方を知ることができ、
日本との違いを含めて、今後の業務を進めていく上で、おおいに参考となる有意義な
視察となりました。
 視察の詳細は当協会の機関誌「環境施設マネジメント」67号(来年3月発行予定)に
掲載する予定ですので、ぜひご一読いただければと思います。