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令和3年度(第34回)事業所管理者研修会開催される2021年11月17日




「第34回事業所管理者研修会」がメルパルク東京で令和3年11月11日(木)、12日(金)の2日間にわたって開催された。今回の受講者は59名(うち、ごみグループ51名、水グループ8名)となった。
今回は新型コロナウイルス感染症の流行の状況を考慮して、研修室が密になることを避けるため次の①〜⑧の対策を講じて、3密の回避に努めるなど感染防止対策を行った。
① 聴講者の募集を中止し、受講者のみの参加とした。
② 会員会社の参加者と受講者の親交を深めていた懇親会を中止とした。
③ 受講者一人一人に問診票を提出してもらい異常のないことを確認した。
④ 研修会開始前に参加者の検温と手指のアルコール消毒を実施した。
⑤ 研修会場の扉・窓を開放し密閉を避けた。
⑥ 研修室内での机の削減による机間の距離を確保した。
⑦ グループディスカッション時のグループ間の距離の確保した(研修室4室への分散)。
⑧ 飛沫防止用アクリル板を設置した。

【第1日目】
 はじめに﨑山協会会長が開講挨拶を行った。
「環維協の事業目的は『会員相互の協力により、環境衛生施設の維持管理技術の研究・研鑽と安全で安定的な運営・作業管理の推進を通じて公共事業の使命に寄与すること』を主とし、あわせて『会員相互と運転維持管理業の健全な発展を期すること』を目的としている。環維協は日本の環境衛生施設運営の重要な役割を担っており『地域に根ざして、社会を支える環維協 より時代に合った、より社会に開かれた活動を目指す』を協会の活動方針として掲げ、『現場総合力の更なる向上』を推進している」と環維協の意義を説かれ、締めくくりに「加盟会社の垣根を越えた環維協の一員として視野と知識を広げ、技術の研鑽を図り、広く地域社会に貢献して頂くことを期待したい」と激励された。

その後、青木広報部会長より『環境施設マネジメント』誌およびホームページの紹介、稲田事務局長より環維協の組織と活動概要説明があり、第1日目の全体研修が始まった。
 
第34回事業所管理者研修会開講       﨑山会長 開講挨拶
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◆特別講演「ごみ処理施設へのPFI的手法の導入と今後の廃棄物処理」
(公社)全国都市清掃会議 技術指導部長 荒井 喜久雄氏
PFI的手法の導入により、官民が協力して安全・安心な運営を達成し、地域との信頼を築きつつ、官民互いの「利益」を実現していくことが重要である。また、今後2050年カーボンニュートラル達成に向けた課題についてご講演された。

◆特別講演「東日本大震災から10年を経過しあらためて既存処理施設の強靭化を考える」
(一財)日本環境衛生センター 理事 佐藤 幸世氏
 東日本大震災以降の大規模災害について事例紹介があり、各種災害に対して、施設の強靭化、BCPの見直し・改定、訓練を進めていかなければならない。また、災害廃棄物処理要望に対しての処理可能量の数値化が重要である。とご講演された。
  
荒井 喜久雄氏                  佐藤 幸世氏
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 午後からは、ごみグループと水グループに分かれて専門技術講座、事業所紹介、ごみ処理・水処理Q&Aおよびグループディスカッションが行われ第1日目を終了した。

◆ごみグループ研修
専門技術講座(1):「プラスチック資源循環と廃棄物処理における脱炭素に向けた取り組み」 
(一財)日本環境衛生センター 環境事業第三部 部長 藤原 周史氏
最初にプラスチックに係る問題点、現在の状況、プラスチック資源循環促進法についてご説明され、今後のプラスチックごみ処理に向けた課題および2050年に向けたカーボンニュートラルの取組についてご講演された。

事業所紹介:塩谷広域行政組合 エコパークしおや
Hitz環境サービス(株) 塩谷支所 所長 小野崎 雄太氏
エコパークしおやの概要説明と事業所における安全対策、教育・訓練等ご説明された。
 
藤原 周史氏                    小野崎 雄太氏
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・ごみ処理Q&A
 研修会受講者より出された質問に対しての回答説明が行われた。
・グループディスカッション
 地域毎に9つの班を編成して、自己紹介に続き「所員教育・技能伝承」「事業所の課題など」をテーマに自由に討議を行った。
 
ごみグループディスカッション
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◆水グループ研修
専門技術講座(1):「し尿処理・汚泥再生処理施設に係る現代の運転管理」−搬入物の質的・量的変動に対して−
(一財)日本環境衛生センター 環境事業第一部 次長 稲田 隆治氏
し尿処理施設・汚泥再生処理施設における搬入物の性状変化、搬入量の増減等に対応について、多くの事例を交えてご講演頂いた。

・事業所紹介:「仙台市 南蒲生浄化センター」−東日本大震災10年のあゆみ−
クボタ環境サービス(株) 仙台市南蒲生GOS事業所 所長 白岩 伸一氏
施設概要説明の後、東日本大震災発生時の状況、施設復旧状況、震災後の取組についてご説明された。
 
稲田 隆治氏                    白岩 伸一氏
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・水処理Q&A
 研修会受講者より出された質問に対しての回答説明が行われた。

・グループディスカッション
 地域毎に2つの班を編成して、自己紹介に続き「所員教育・技能伝承」「事業所の課題など」をテーマに自由に討議を行った。
 
水グループディスカッション
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【第2日目】
 研修の第2日目は、前日に引き続き、ごみグループと水グループに分かれて専門技術講座(2)から始まり、専門技術講座(3)からは再び全体研修が執り行われた。

◆ごみグループ研修
専門技術講座(2):「廃棄物処理施設における脱炭素への取り組み」 
日立造船(株) 環境事業本部
環境技術推進部 部長 田中 朝都氏
廃棄物処理施設における脱炭素への取り組みとして、まずは中期目標である2030年に2013年比46%削減を達成するため、熱利用(熱輸送、燃料製造)、二酸化炭素回収・利用、バイオメタンについて、数々の事例を含めてご講演頂いた。

◆水グループ研修
専門技術講座(2):「し尿処理施設における災害復旧対応事例について」
水ingエンジニアリング(株)エンジニアリング本部 環境インフラ技術統括部
資源化技術部 課長 寺田 篤司氏
2019年10月、令和元年台風19号により、浸水被害を受けたし尿処理施設の被害概要から被災時の対応、施設の復旧までご講演頂いた。
 
田中 朝都氏                    寺田 篤司氏
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専門技術講座(2)終了後、再び全体研修となり、専門技術講座(3)から講義が始まった。
専門技術講座(3):「新型コロナウイルス禍における廃棄物処理の新型コロナ対策」−最新の知見と現状−
(一財)日本環境衛生センター 特別参事 村岡 良介氏
すべての人が感染している可能性があり、すべての人が誰かに感染を広げる可能性がある。正しく恐れて、適切に行動していくことが重要であるとして、基本的対策と予防対策についてご説明された。

村岡 良介氏
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午前の最後として、石川技術部会長より環維協技術部会の組織と活動紹介があり、安全衛生部会ともに作成した成果物が紹介された。午後から、労務・安全衛生管理についてのプログラムを催し、基調講演とパネル討論が行われた。

基調講演(1):「現場の人事・労務管理」
クボタ環境サービス(株) 総務部人事課 係長(社会保険労務士)熊谷 大氏
管理監督者を取り巻く環境変化の説明から、管理監督者として、どうあるべきかをご説明され、労務管理におけるよくあるトラブルの内容および防ぐための対応について講演された。

基調講演(2):「労働災害を防ぐために」〜元労働基準監督官の経験と思いから〜
神鋼環境メンテナンス(株) 顧問(社会保険労務士) 茶園 幸子氏
元労働基準監督官として対応してきた災害事例をご説明され、安全対策として、「人の特性を踏まえた安全管理」を実施していくようご講演された。

 基調講演に続いて「メンタルヘルス休職者の就業可の診断書に対する復職対応」、「高年齢社員に対する対応」「労働災害・労災隠し」を題材に、ゲストおよびパネラーに加え受講者の質問も交えて、モデレーターの進行によってパネルディスカッションが行われた。
 
熊谷 大氏                     茶園 幸子氏
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パネルディスカッション
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 最後に石川技術部会長の閉会の挨拶および修了証の授与で研修会を終了した。
 「研修内容は、東日本大震災から10年、カーボンニュートラルと昨今の問題を織り込みつつ企画したもので、皆さんの事業所運営に少しでも役立つように意図したものです。我々の仕事は安心・安定をお客様にお届けすることであり、それに向けて取り組んでいきたい。」と閉会の辞を述べた。続いて修了証を代表者に授与して、閉会とした。
 
石川技術部会長 閉会挨拶           修了証授与
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研修会の詳細については、「環境施設マネジメントNo.73」(2022年3月発刊予定)に掲載しますので、ご一読ください。